カナダ居合道大会 その2。 今度こそ居合の話。

前のエントリーはSSお姉さまの話で手一杯で、ひとつも刀を抜かないまま終わってしまいました。
講習の記録なのに。気を取り直して、居合の話をしましょう。今度こそ。

カナダの剣道連盟としては初の大会とそれに伴う講習会は、3日間の日程で中日の大会を挟んで、初日が主に審判講習、最終日が「大会からの学びを踏まえての講習」というちょっと面白い日程でした。



初日の審判講習自体の対象は審判をできる段位の人たちで、まずはそれ以外の参加者が「選手」として演武をし、審判が審判の練習をする形式でした。全日本剣道連盟からの派遣の先生お二方が二つのコートに分かれて指導されたためもあって、審判の規則についての全体への伝達は少なく、私は短い間K先生の通訳を務めさせていただいた間に内容が聞けたのが勉強になりました。まだ審判をする段位ではない人にも、将来その役割を担うにあたって、また、選手として参加するにあたっても審判のことを知るのは勉強になると思うので、もう少し全体に伝達できる方法が望ましいかなと思いました。

午後後半は、H先生率いる三段までとK先生の四段以上に分かれての制定居合講習。
K先生とH先生のおふた方が来られると、どちらも大好きなのでクラス分けのときにどちらに転んでもアンビバレントな気持ち(笑)になるのですが、今回はH先生が久し振りで嬉しかった。ここ数年、K先生のいらっしゃるときには通訳で高段者のクラスに入ることが多く、自分のレベルを超えたところの教えをうかがうことが続いていたので、自分のレベルに合った稽古ができてちょっとほっとしたり。制定居合の教本などあらゆるところに書かれていることだけれど、三段までに「正しい」動作ができていなければその先どうにもならないもんね。



二日目、大会。
剣道連盟主催の第一回のカナダ居合道大会である今回は、選手として出場できるのはカナダ連盟員のみでした。そのため私達6人のUSメンバーはお手伝い要員。N先生は写真を(プロですが全くのボランティアで)、SS先生は審判を、私はスコアリング周辺の雑用を担当しました。これが意外に面白かった、というのは変かもしれないけれど、やってよかったとすごく思った。ラウンドロビンで数を絞ったあとシングルイリミネーションに切り替えるやりかたで、時間はややかかるけれど、これだと少なくとも皆2度の試合ができる。ラウンドロビンは(他所は知らないけれど私の経験では)剣道の大会でしばしば見たけれど、いざ裏方をするとなると混乱して、スコアリングテーブルに座るのがとてもストレスだった。それが今回の手伝いで、よく判っている人の後を付いて回っていたら霧が晴れるように明らかになった。お手伝いも結局は自分のためなのだな。

USの大会は主に人数の都合で今のところ一級と初段とか二段三段が一緒のグループだが、時間さえ許せばラウンドロビンを取り入れれば段位別にできるんじゃないかね、せめて級レベルだけでもね、と、後でお姉さま方と話し合いました。ひいては、いずれは北米(カナダとアメリカ)大会や国際大会に発展させたいという話にまで。こうして将来の展望を話し合うきっかけとしても、お手伝いをしたのはよかった。

毎年行くオンタリオのセミナーでは見ない西海岸の顔で、しっかり揺るがない居合を抜く、いいなとおもった選手が数人いた。そういう選手にはちゃんとそう言いに行きました。いずれお手合わせする機会もあるといいな。

ところでこの大会はトロントの日系文化会館というところで開催されていて、こういう施設があるというのがまず羨ましかった(売店で赤いきつねとか売ってるしさ)のだが、お昼にお弁当を持ってうろうろしていたら、館内のガラス張りの道場で弓道の稽古をしていたのでそれを眺めながらランチという贅沢もしました。
弓道も、写真で見るとそれほど感じなかったけれど、目の前にするとやってみたくなるな。



三日目。
午前中は日本からの先生方が高段者の審査に入られるため、カナダの高段者が中心に指導しての稽古でした。
三段以上のグループは、何年も前から毎年5月の講習で顔を合わせるのにあまり話をしたこともなかったカナダ人女性の先生が指導され、途中から彼女の促しでSS先生も指導に加わって、私は内心「指導者が女性ふたり…」とにんまり。このカナダ人の先生の指導がかなりわかりやすくて、目からうろこの場面がいくつかあって面白かった。複数の先生に教えを受けると混乱することもある(特に初心者だとね)けれど、こんなこともあるので時々外にでるのはやはりいいものです。

審査が終わって戻ってこられた先生方はその後しばらくカナダの指導者が指導をするのを見ておられ、その後K先生の指導で全体の稽古になりました。

今回はK先生に間と間合いの問題(気持ちが入ってわざが早くなったら血ぶり、残心をよりゆったりすることなど)と、血ぶりの注意を受けました。大勢の中にいても、毎回ちゃんと見ていてくださるのはありがたいことです。

(←ここ、アメリカの旗とかはあるけど、カナダのはないのな。)

さて、この記念すべきカナダ剣道連盟第一回の居合道大会を中心になって準備、運営していたのは友達夫妻でした。あいにくP君の方は当の週末が大学院の日程の都合で不在となり、奥さんのHちゃんがすごいパワーを発揮して全日程駆け回っていました。駆け回りながらも大会にも参加して三段の部で三位に入賞。この夫妻はいずれカナダの居合を支える石になる、という、前々から思っていたことをさらに確信しました。

Hちゃんが夏に東京のH先生を訪れ、稽古に励んだばかりか大会にも参加していたのは知っていたのですが、その目的の一部がこの大会の準備にあたっての勉強(自費で!)だったのは後で知りました。
それを通して、以前からのH先生との信頼関係がますます深まっているのが傍目にもはっきりと見て取れました。いいなあ。



そんな風で、盛りだくさんで、居合の稽古の面でも、大会運営に関しても、それから人的交流の面でも、勉強になることの多かった、そして最初から最後まで楽しかったイベントでした。私の学んだこと、成長の度合いは、Hちゃんが成し遂げたそれに比べたらほんのわずかなものだよなあ、とも思うけれど、学びは一人ひとりのものだからね。
忙しくてあまり時間が取れないながらも、イベントの前後を通じてHちゃん夫妻と以前より突っ込んだ話し合いもできて、連盟うんぬんのフォーマルな組織を度外視しても、友情を基盤にして今後カナダとUSの結びつきが深くなり、一緒に成長できる予感が強くして、それも嬉しいです。



最後に、会館に貼ってあった和太鼓の演奏会のポスターの、褌一丁の男性の後姿が余りにも素敵で、もう少しでポスターを盗むところだったことを記しておきます。って書いておくと、くれたりしないかな。JCCCさんw


カナダ居合道大会 その1 行きの旅程

カナダの剣道連盟が主催する、第一回の居合道大会と、それに伴う講習会がこの週末トロントで開催されました。
今回は大会はカナダ連盟員のみということで、アメリカから講習に参加の私達は大会はお手伝い要員でしたが、学びの多い経験でした。

…のは本当なのだが、今回の旅は全体にこういうトーンではなかったので、いきなりくだけます。

このイベントは、運営の中心になったのが友達夫妻だったり、別の道場から定期的にうちの道場に稽古に来る面白い女性の二人組の大先輩との旅程だったり、参加者も大方5月の合宿で顔見知りの人たちだったりで、「第一回」とか「剣道連盟」とかの緊張感がありながらも「お友達」感覚満載だったのでした。

「面白い女性の二人組の大先輩」について。
このお二人は、流派の違う近所の道場から、うちの大先生の開く高段者稽古にやってくるお姉さま方で、その一人はここに書いたSS先生です。道場にはかなり遠くからバスを使って来られるのでいつも稽古が終わるとあわただしく帰っていく。わずかな会話からハイパーで面白い人だなとは思っていたけれど、全くの氷山の一角でした。

水曜の夜にニューヨーク州北部のSS先生の家に集合し、木曜朝に出発、途中もうひとりのN先生の審判用スーツをアウトレットで購入してカナダに向かう、という計画で、もう初めから遠足気分だったわたしの期待は裏切られなかった。SS先生宅での出来事は盛りだくさん過ぎたので箇条書きにします。

*予定通りの時刻に到着したら、家主自身がまだ帰宅してなかった。まさかGPSに間違った住所を入れたかと思って中をのぞいたら、アンティークな歯科の治療椅子と、書道の額と、先日の大会の優勝カップがあったので間違いなくSS先生の家だと知る。(SS先生は歯科医です。)
*わたしと同じ頃着くはずのN先生から、悪天候などで到着が2時間後になると電話が入る。
*SS先生と二人で夕食の支度をしながらしゃべりすぎて、あろうことか2時間後にN先生がついてもまだ夕食ができていなかった。SS先生はしゃべっているときは全く手が動かないことを知る。
*SS先生はものすごく切れ味のいい、刃紋までついてる日本の包丁を使っている。外国の居合道家は日本に行くといい包丁を買って帰るらしい。
*リビングルームに鏡以外なにも家具がなくて、居合の稽古ができる。しかもその鏡に紙テープで「前」の切り付けの位置が示してある。
*SS先生は普段企業のTシャツにスクラブみたいなすごく雑な格好をしているのに、スーツはブルックス・ブラザースだ。
*SS先生はまだ全然荷物詰めに取り掛かっていなかった。そうして「大丈夫、ドイツの講習から帰った荷物が殆ど出してないから!」と言って夜中近くまで取り掛からなかった。
*SS先生は10くらいのことを良く判らないローテーションでいっぺんにやるので、手伝おうとしてもさっぱりついていけない。この辺りでものすごく自分に似た人だと思った。

このままでは「SS先生が濃い」というテーマのエントリーになってしまうのでこの辺でやめておく。
まるでN先生が出てこないが、N先生の存在感がないのではなくて、SS先生の存在感がありすぎなのです。
ともかくそんなこんなで一泊して、朝ごはんを食べ、カナダのホテルは朝食代が別なので節約しようというSS先生の提案でクーラーボックスに食糧をつめ(ホテルの部屋に冷蔵庫がないなど誰が想像しただろうか。つうか、誰もホテルの装備をチェックしてなかったところもこの道中のその後を暗示していた。)、結構な時刻になってしまってあわただしく家を出た。夕方にはできれば運営の友達とお茶くらいしようということになっているのである。

長くなりすぎるので先を急ぐと、買物が一軒のアウトレットモールですまなくて、2軒回ることになった。一軒目のブルックス・ブラザースのイギリス人のおっちゃんがまたおかしくて、SS先生といいコンビだった。2軒目でやっと、長身のN先生に長さの合うパンツを買ったときには、どう考えてもお茶の予定には間に合わない時刻になっていた。国境でも今まで見たことのないほどの行列で1時間近くも待たされ(「ガソリンを浪費させて、カナダに入ったらすぐガソリンを買わせようっていう魂胆よ。」N先生談)、トロント入りもすごい渋滞で、夜の稽古に間に合うためには夕食を食べに行っている場合ではない時刻になってしまった。持参していた食糧(主に大量のメロン)でしのぎ、ばたばたと地元道場の稽古に向かった。(続く)



結局のところ「SS先生が濃い」というテーマのエントリーになってしまいましたが、それも仕方ないのはお分かりいただけたかと思います。

道場の掃除

また道場のマナーの話になってしまうんですが、
「礼に始まり、礼に終わる」ってことで許してください。

私の通っている道場は、他の武道の所有するフロアをお借りして稽古しています。
「大家さん」でもあるその武道の先生には私は滅多にお目にかからないのですが、
今日はお仕事がおありだったのか、居合の稽古が始まる前から事務所におられました。

私が稽古の前に床掃除をしていると、私のところまでやってこられて、
(日本人なのですがなぜか英語で)
「稽古の前より後に掃除したほうがいいですよね」とおっしゃる。
「掃除は前後にしています。私はいつも剣道に残っているわけではありませんが、剣道の後にも掃除はしております。」と、相手が英語だったのでそのまま英語でお答えしたら、
「してるかもしれないけど、空気中に稽古着のカスやらが舞ってるから、翌日私達が来るころにはまた埃がたまってるんです」とおっしゃる。
ええと…それは、夜中とか朝とかにもう一度来て掃除しなおせ、ということですか?よく判らない、と思いながら、どう答えればいいのかと思案していると、
「とにかく稽古の前にするのは余り助けになりませんよね」と繰り返される。

稽古の前にもしたからってあなたに害があるとも思えないけど…と思いつつも、
この方に稽古の前の掃除の意味をお話しても仕方なさそうだったので、そこには反論しなかった。

稽古の前に、道場の掃除って、しませんか?皆さん。
私はもう習慣になっているので、掃除せずに稽古とかちょっと考えにくいです。
面白いことには、私のいる道場でも掃除が習慣の人とそうでない人がいて、
大体ラテン系はやりません。
私より段位が下でも、ふんぞり返って掃除が終わるのを待っている。
かと思うと、近隣の道場からほぼ毎週来られる六段錬士のアメリカ人の先生が毎回掃除されていたりする。
この先生に先に箒を取られると私はあわてて奪い返しに行くのであるが、先生は決して箒をくれない。
私は自分の箒をとりにいかねばならない。
ラテン系はそういう光景を見ても何も感じないらしく、ふんぞり返ったまま見ている。
私が武道家として尊敬できるな、と思っている人ほど、段位に関わらず箒をとります。
アメリカのようなところで武道の修行をしていると、どうしても「文化の違い」という要素が入ってきますが、
それでも。

どうですか、武道の修行をしておられるみなさん、
道場の掃除って稽古の前にもしませんか?


**

日本語で話しかけてもいいはずの私に、かなり大きな声で英語で言ったところから見て、
要するに更衣室にいた先輩に「きれいになってない」と言いたかっただけ、の可能性も高いです。
例えそうであっても、稽古前の清掃を「意味がない」と言ってしまう人、また、はっきり面と向かって言えばいいことを(「掃除が不完全です」)回りくどい方法で伝えようとする人は武道家としてどうなのかと私は思いました。

**

追記。
その後考えていて気づいたのだけれど、私にとって稽古前の掃除は一種の「禊」なのだと思う。
だから私は稽古の前に掃除しないとすっきり稽古が始められないんだな。
この感覚は日本で生まれ育った人じゃないとわかりにくいだろう、と思ったけど、件の先生も多分日本生まれの日本育ち。

全米居合道講習、大会、それからSS先生という女性のこと。

全米居合講習から戻りました。
国土が広いので、おおまかに西海岸、中央、東海岸で会場を年毎にローテーションするこの講習、今年はどこから行っても不便な(笑)ネブラスカ州オマハ…の、近くの、アイオワ州カウンシル・ブラフス。こういうところだと航空料金がかさむのが参る。安く済ませようとすると直行便がないしさ。

(以上、愚痴。)

今回グループ分けは「二段以下」と「三段以上」で、三段以上は殆ど全部が最終日に審査を受ける人ばかりだった。
こういうめんどくさい場所だとどうしても来ないといけない人しか来ないんだよ…(笑)。
そういうわけで三段に数ヶ月前通ったばかりの私は、通訳でありながら多分このグループで一番の下っ端であった。
二度ほど「じゃ、悪い見本をやってもらいましょう」とかり出される。通訳しながら見本もするの忙しいんです先生。

S先生の講習は、もちろん制定12本の注意事項を教本と指導要綱に沿って指導していただいたのだが、合間合間に「体が勝手に動くようになるまで稽古を繰り返すこと」が強調されていて、それが何よりも頭に残った。


こういう講習の滞在場所は大学の寮のことも多いのだが、今回はホテルだったので、その益を満喫しました。
稽古から戻ると水着に着替えてプールとジャクジーにまっしぐらにでかける。そうしてそこに行くと、いつものうちの先輩方と、近隣の道場からうちの道場に頻繁に来られる先輩方ばかりなのだった。このホテルには全国からのメンバーが皆滞在しているというのに、何故。

毎晩ビールを飲みながらも、朝はちゃんと早起きしてランニングをした。
土曜日は途中でやはり走っていた兄弟子と合流する。
ペースも、私にはまあわずかに速めかな、という程度で十分ついていけた。違いが出るのは走りながらしゃべるときで、兄弟子はこのペースで話しても全く余裕だけれど、私は話すと少し息が上がる。

人と一緒に走るのは実は私は初めてで、これもいいものだなと思いました。
一人で走っていても自分の足のリズムと呼吸のリズムが合わさって音楽のようなここちいいパターンを生み出してなんとも言えない落ち着きが得られるものだが、隣に人がいるとそのリズムが一層複雑になる。活気が加わる。
このときの心象風景が翌日思わぬところで助けになった。


土曜日は一日中大会。
私にはこのところ、一回戦負け続きの汚名があった。大体いつも、対戦相手の名前をみてびびり、出る前から気で負けている、というパターンである。今回も、朝一番で一回戦の相手を見るなり、いつもかなりのところまで行く日系アメリカ人の男性で「またかよ」と思ったが、ここまでそのパターンが続くと開き直った。

落ち着け。自分の実力で抜けばいい。
どうせそれしかできないんだから。

最初の礼法でさっそくナーバスになりかけたとき、頭に浮かんだのは前日のランニングの光景だった。
いつものランニング中の平静な心持と、隣に(しばしば鬱陶しくもあるけれど)信頼する人が一緒に走っていることの心強さが一瞬心によみがえったら、すっと楽になった。

最初の「前」と「柄当て」が完璧に程遠かったので「だめだなこりゃ」と思ってからはますます開き直った。
「三方切り」は講習でS先生がおっしゃった抜きの高さだけを、「添えて突き」はいつもうまくいかない突きの時の刀の水平だけを、意識して抜いた。「総切り」で締めて礼をし、三本全部私に旗があがったときは何かの間違いだと思った。
うちでは大先生はともかく、先輩方はちいとも褒めてくれないので全然ダメなんだろうと思い込んでいるのである。

このときの相手が後で、「負けたあとキミの居合を見ていたけれど、こりゃ負けるわけだと思ったよ。」と言いに来てくれた。去年まで(というかこの試合の判定が出るまで)、「手ごわい」と思う何人かに入っていた人だ。

この後二回戦も3対0で勝ち進み、三回戦で「手ごわい」リストの別の男性、去年の優勝者に2対1で負ける。
この人相手に旗が一本あがっただけでも前進ではある。まあ、負けは負けだがな。笑

結局三位までには入れなかったけれど、敢闘賞をいただきました。

審判で忙しかった姉弟子(そんな言葉あるか)があとでつかつかと寄ってきて、
「後で言いたいことがたくさんあるからね。沢山の人が感心していたけれど、私は感心してないから。」と、きついながらも少し笑いを含んだいつもの調子で私の肩を叩いた。「ひー」とふざけて逃げ隠れる振りをする。
傍で神経質で気の弱い別の女性の先生が、姉弟子を少しとがめるような目で見ている。
案の定後で「あんなこと言われて大丈夫?」とそっと言ってきた。
この先生は自分が傷つきやすいので人の心配もされるのだが、私はこの姉弟子の振る舞いに関してはむしろ元気付けられるくらいで本当に全く傷ついていない。毎度毎度そう言ってるのだけれど、なかなかわかってもらえないのよね。

とにかく一回戦負けパターンは打破したし、多数の人から後で頂いたコメントによると私は自分で思っているよりはいい居合をできているらしいので、S先生のおっしゃるように「体が勝手に動くように」稽古をこつこつ積み重ねて自信を増そう。


最後に、今回の講習、大会、および審査で一番輝いていたのは、近隣の道場からうちの道場に頻繁に来られるSS先生という女性だったことを記しておきたい。
これまで何度も六段審査を受けられて、去年は誰もが「通っただろう」と思ったのにやはり通らず、壁にぶつかっておられた。この1年でどれだけの努力をされたのか、全く揺るぎのない、力強いながらも力任せでない安定した技をずっと抜いておられた。大会では四段以上の部門でうちの兄弟子をやぶって優勝され、翌日の審査で見事六段に合格。
今回ずっと彼女の事をこころにとめていたので、合格の知らせに自分まで涙が出た。

手本になる女性の居合道家がいるというのは、いい。
何人いても多すぎることはない。
そもそも体のつくりが違うのだから、女性にはできないことも現実にはある。
その逆に、女性だからより気持ちを配れるところもある。

SS先生は、そろそろ真剣を探す時期に来ている私に、ご自分が去年ぴったりの真剣に出会うまでの苦労を話してくださって、「女性のことは女性にしかわからないこともあるから。私が無駄にした何年もを、他の人の役に立ててもらいたいと思う。真剣探しは私が手伝うからね。」とおっしゃる。ありがたい。



そして来年の講習はいよいよ、NY市です!





カナダ居合セミナー

毎年5月恒例のカナダはオンタリオでのセミナーから戻りました。

このセミナーはその時の状況に合わせて毎年少しずつやりかたが変わるのだが、今回は全体で制定12本の模範演武と解説があったあと、すぐにレベル別のクラスに別れた。
無級から初段まで、二段から四段まで、そして五段以上に別れてそれぞれ日本からの先生がお一人ずつ指導につく。ここで私は通訳として五段以上を担当される先生につくことになったので、レベルの高いクラスにひとりみそっかす三段の分際で混ぜていただきました(笑)。小声で言うと、高段者のクラスには居合の理解の深い高段者の通訳がついたほうがいいのではないかと数人に打診したのだがあえなく却下になったのだった。

結果的には私にとっては大変貴重な学びの機会になって、良かったのです。
セミナー中ほぼずっと、敬愛するK先生のおそばにつかせていただいたので。
そして通訳をする都合上メモをずっと取っていたので、これからそのメモを元にノートを作成します。
ひひひひひ。
(数日後の今、自分の字が読めるかどうかが疑問。)



このセミナーの開催地地元のO先生と雑談する機会があった。
「通訳は日本で勉強したの?アメリカで?」
「このセミナーでですよ!」

初めてこのセミナーに来た時に、「誰か英語と日本語両方話せる人いませんか」と先生が募ったら、当時の先輩から背中を押されて集団から押し出され、通訳をする羽目になったのだ。

と、説明した。

「えっ、そうだったの?」
「その前からたまに製薬の通訳バイトはしていましたけれどね。」

以来毎年ここで通訳をしていて、その間にはO先生に「キミは居合より通訳の方がうまいね」といわれ、判りにくい日本語で苦労させて下さった当のT先生には「俺のおかげで通訳上手くなったな」とか言われなが今に至ったのだ。

今は医療の現場を離れて医療通訳で生計を立てている。業務としての通訳は、当然「報酬に見合った仕事をする」という責任があるが、武道の通訳はまたそれとは違った重い責任を毎回感じる。私が言葉の選択を誤れば文化が正確に伝わらない。増して今回の担当は高段者のグループだったので、先生のお話も技術だけではなく深いレベルの話で集中力を要した。



今回は顔は知っているけれど名前は知らなかった人たちと大分ちゃんと知り合いになった。夜、寮のラウンジに顔を出しているうちに、そのままどこかの道場の集まりに流れていって話し込んだり。私は元来人見知りなのだが、クラフトビールの牽引力は偉大だ。笑




ところで、
二年前のこのセミナーは、今の道場に入門してから1年ほど経った時だった。
そのとき私の居合が兄弟子のそれに似てきたと言われて非常に喜んだのだったが、今回は大先生に似てきたと言われました。大幅昇格したぞ。笑
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剣祐

Author:剣祐
剣の修行中。

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