読み散らかし11月

もう少し頻繁に書かないと、多分毎回何冊か抜けてる。

Sharon Kay Penman "Lion Heart"
英国王リチャード一世の物語。歴史フィクションは主に4人の作家のものを追って読んでいるが、それぞれにスタイルが違う。Penmanのやりかたの好きなところのひとつは、人物像の描きかただ。単純な悪者なんかどこにもいない。それは完璧な善人と同じくらい不可能な存在だ。知らないから、知ろうとしないから、または知ると都合が悪いから、人は他人を単純な悪者だということにする。ということを、彼女の作品を読むといつも思う。

Gabriel García Márquez "One Hundred Years of Solitude"
これは、私などがいまさら言うのもアレだが、凄かった。
無機物が、有機体に圧倒されていく。
閉鎖されたコミュニティが、外の世界から離れて、つまり「孤独」に営みを続ける話なのだと思っていた。
途中で気がついた。コミュニティだけじゃない、そこに現れる誰もが孤独なのだった。

初代のホセ・アルカディオ・ブエンディアが亡くなるシーンを読んだ直後にNYを歩いていたら、空から黄色いものが沢山降ってきて、私はしばし足を止めて口をぽかんとあけたまま空を見ていた。どうも、NYにはよくある、ビルの屋上の植木から落ちてきた枯葉だったようなのだが、それがわかるまで私はマコンドに引きずり込まれたような気持ちがした。この本にはそういう力がある。

Sharon Kay Penman "Time and Chance"

Henry IIとEleanor of Aquitaineの物語。
まだ序盤なので感想はいずれ。

Philippa Gregory "Earthly Joys"
King James Iと King Charles Iの物語。うちの近所のスーパーの出口に、古本交換所みたいなものがある。不用になった本を置いていってもいいし、読みたいものがあれば1ドル置いてもらってくる。たまったお金は「ファンドレイザー」に使われると書いてある。やや怪しいが(笑)、たまに掘り出し物があるので買物の度に覗いてくる。本との出会いもタイミングだしね。これはそういう風にして見つけた本。

これもまだ序盤なので感想はいずれ、にする。
Gregory の描く人物は、Penmanのそれが全体に思慮深くて思いやりのあるトーンになるのに比べて、頭の回転の速い、情熱的なトーンになる傾向がある、と思う。どちらがいいというより、好みの問題ではあるが。

Mary Roach "Stiff: The curious lives of human cadavers"

これはですね、少々ミーハーな動機で手に取りました。笑
好きな俳優さんがインタビューで、今読んでいる本として紹介していたので。
これも読み始めたばかりで、ひとまず出だしは、寄贈された献体の頭部が、形成術の練習に使われている場面から始まっている。ううむ、題材は面白いんだけれど、どちらかというと全く分野外の人に向けて書かれているという感じで、今のところ電車で時間つぶしによむにはいいか、という印象かな。

JRR Tolkien "The Fall of Arthur"
え?ええ、まだ。笑
古い英語の部分をよむのは一苦労なのだが、音読すると解決したりするのが面白い。
昔の英語はスペルが定まっていなくて、耳で聞いたように書く傾向があるとどこかで読んだ。
大体こんな調子だ。

'for I am sure', sayde the kynge, 'whan he hyryth telle that sir Gareth is dede he wyll go nygh oute of hys mynde'. 'Merci Jesu,' sayde the kynge, 'why slew he sir Gaherys and sir Gareth? For I dare sey, as for sir Gareth, he loved sir Launcelot of all men erthly.'



読み返してみた本一冊。
川上弘美「どこから行っても遠い町」
私の人生の今の位置にちょうどしっくり来る作品だと思う。
つい数ヶ月前に読んだ時よりも、いま強くそう思う。
この数ヶ月で年をとったのかもしれない。
川上さんの文章には紬の着物のような美しさがあって、寄り添っていてほっとする。
一緒にいる人もそんな風がいいと思うのは、やっぱり年を取った証拠かもしれない。

読み散らかし10月

前回の「読み散らかし」の最後で言及したバーナード・コーンウェルのサクソンシリーズ最新作 "The Pagan Lord"は、予告どおりイギリスのアマゾンから購入してあっという間に読み終わりました。一年ほども待った恋人との逢瀬も、たったの二晩床を共にするのみ。ああ。次の出版までまた2年かな。シリーズの最初では子供だった愛するUhtredは、ついに今回で私の年を越えました。多分次がシリーズ最後です。

Umberto Eco "The Name of the Rose"については、色々思うところあるのでいずれ改めて書きます。読み終えたあとで映画版を観た。ブラザー・ウイリアムの魅力について友達に語っていたら、「映画では誰が?」「ショーン・コネリー。」「それはずるいぞ。」ははは、それもそうだ。

一方で前回までの「読み散らかし」にいつまでもあるJ.R.R.Tolkienの "The Fall of Arthur"と"The Lord of the Rings"はまだ進行中のリストに。
え?まだ?
ええ、まだ。

さて、追加分。
Leonie Frieda "Catherine de Medici: Renaissance Queen of France"
「中世の歴史好きだったら、これ好きだと思うわよ、ちょっとドライだけど。」と友達がずいぶん前に貸してくれたもので、ほったらかしだったすいませんすいませんすいません。それきり会っていないので返す機会もなかったのだ。読み終えたらハイキングにでも誘おう。

A.C. Clarke "The Hammer of God"

これ(←リンク)ですね。大昔クラークばかりむさぼり読んだころに読んでいるのだが、少し前に友達とSFの話になってまたクラークが読みたくなったのだった。はじめの方に、中央コンピューターが「必然的に」デービッドと名づけられている、というところがあって吹き出した。

Gabriel García Márquez "One Hundred Years of Solitude"

日本語版の紹介はこちら(←リンク)。
クラークの本と共に昨日配達されたのだが、箱を開けて手にとったら、嬉しいサプライズだった。
テクスチャーがとても好き。水彩画につかうものみたいなでこぼこした厚手の紙に、タイトルが圧されている。表紙の下のほうの鮮やかな絵もいい。アメリカの本にはよくある側面のカットが不ぞろいな装丁もいい。(日本の本だと、不ぞろいがある場合は上側なんですよね。)しばらく変態みたいに本を撫で回してため息をついてしまった。写真だと伝わりにくいと思うのだけれど、こちら。
側面
paper texture
表紙
front.jpg

本は、一番大事なのはもちろん文章だけれども、それだけではない、姿、手触り、全体あっての本なのだ。
なので、キンドルは便利ではあるけれども不完全なのです。私にとっては。



読み散らかし9月

読み散らかしシリーズ、これまでの書き方でこの頻度だと記録から抜け落ちる本が多すぎてダメですね。
全部もれなく記録しようと思っているわけでもないのだけれど。

で、やりかたを変えるのかと思いきやほぼ同じような中途半端記録です。
前回からの間に何冊かの本を買って読み終えました。カーヴァーとか。
それから丁度その頃に、ある知りあいがカーヴァーについて語り合える人だということを発見して大変嬉しかった。残念なのはこの知りあいが年に二度会えればラッキーなくらい遠くに住んでいることだ。本について語り合える友達が今少ないなー。友達自体が少ないんだけどさ。



さて、現在の本たち。
今全体的にクラシック寄りになっている。
同時進行の冊数は少なめ。(当社比)

*J.R.R.Tolkien "The Fall of Arthur"

中世の詩のスタイルで書かれた未完の作品を、著者の息子であるクリストファーさんが編集してつい先ごろ出版したもの。
私は詩はもともと日本語のも英語のも殆ど興味がなかったのだが、ロード・オブ・ザ・リングスのそこここに出てくる詩を音読しているうちに面白くなってきた。文学と音楽の堺にあるものなのかな、と思う。日本語のは相変わらず読んでません。

*J.R.R. Tolkien "The Lord of the Rings"

え?まだ?
ええ、まだ。
今映画で言うと2作目の終盤ですわ。
全部音読してるから進まねえの。ゴラムのところはちゃんとゴラムの声で。

*Umberto Eco "The Name of the Rose"

20年くらい前に日本語版を読んだはずなのだが、半分近くまで読み進めた今もこの先の筋がさっぱり思い出せないばかりか、なぜタイトルが「ばらの名前」なのかも思い出せない。今のところばらは一切出てこない。それから、今でこそ中世ヨーロッパの歴史やキリスト教の知識があるけれど、当時これを読んでどれだけ理解できたのかも甚だ疑問である。…という数々の「?」を頭に巡らせつつ読んでいるが、これは面白いです。翻訳なしのラテン語が沢山でてくるので(読めなくても筋を追うのに障害にはならないのだが)、思わずラテン語・英語の辞書を買ってしまいました。

*Shakespeare "Richard III"

この本、いやに厚いと思っていたら半分以上は解説やら当時の関連の芝居の台本やら映画版の批評やらなのだった。で、今終盤の、映画版の批評部分を読んでいるのだがこれが面白い。私は映画を分析する思考回路を持ち合わせていないので、余計に新鮮だ。もっともリチャード三世の映画で全編見たのはローレンス・オリヴィエの作品だけなので、それ以外の作品はYoutubeで断片的に見てはよんでいるのだが、それでも十分面白い。特にイアン・マッケランの作品はちゃんと全部見ようと思わせられた。

*Donna Lean "Willful Behavior"

これは何年か前にクライアントが読み終えてくれたもので、ずっと放置していたんでした。
殺人ミステリーなのだけれど、これ以外の読みかけの本がみな重厚なので、合間によむと軽くて楽チンという事態。
日本語訳もあるのね。しかしタイトル訳はもっと何とかならなかったのか。確かに主人公、昼に家に帰っちゃ奥さん手作りのえらい旨そうなもの食ってはいるんだが。



大好きなサクソンシリーズの新作がイギリスでは発売になった。アメリカで発売になる1月まで待っていられないのでイギリスのアマゾンで買うぞ!

それから、誰かのツイートをきっかけに、そのツイートとは結果的に全く関係のないSFにたどりつき、アマゾンで何冊かつまみ食い的に立ち読み(*)した。このところ歴史やら古典やらばかりだったので、普通の語彙が新鮮だしすいすい読める。思わず数冊カートに追加。こうして本の山は決して低くはなっていかないのであった。



*アメリカのアマゾンはこれのできる本が多いです。日本のは殆ど読めない。結果的に損してると思う。こうしてちょっと読んで購入を決定することは存外多い。


読み散らかし再び

読み散らかしのアップデートです。
こういうものを書いているときは大体ほかにやることがあるのに逃避しているんだよな、こいつは、とは、思っても口に出してはいけません。

前回3月の分がこちら。 ←クリック

トイレ
Apollo 13 (ええ、まだだらだら読んでます。なかなか帰還しないな、ジム・ロヴェル。)
不思議なキリスト教 (やっともう少しで読み終わる!割と辛かった!*1)

ベッド(文字通りベッドの上、である。)
Guns, Germs, and Steel (購入したのは多分12年くらい前)
Richard III (比較参照しながら読むつもりで並べてあるのだが、英語で今ひとつわからないところを日本語版でみても大抵同じくらいわからないので、結局日本語の方は殆ど読んでいない。)

ベッドサイドテーブル
Narcissus and Goldmund  (さび付いたドイツ語を脳の奥から引きずり出すための試み。)
The name of the Rose (大昔日本語で読んだがさっぱり覚えていない。英語では初めて。)
SAS survival handbook (大体これは「読む」ための本なのだろうか。必要なときに参照する本ではないのか。)
Song Celestial (Bhagadad-gita) (ほぼ放置)

ダイニングテーブル
The Lord of the Rings (場所昇格。何度目かの読み返し。)


携帯電話のキンドルにダウンロードしてあるもの

…は、もうすっかり忘れられているので略します。


さらに
注文すみで到着待ち
Lionheart (Sharon Kay Penman著の、リチャードI世の物語。)



そんなわけで、前回に比べると大分リストが短くなっております。その間に買って読み終えた本もかなりあります。6月に買った日本語の本は全部読み、ギャツビーはその後原著も読み返しました。原著で、なるほど文はすごいと思う、私が嫌なのは登場人物たちの性質なのだな、ということが判明しました。



*1:割と辛かった - 非クリスチャンとしてクリスチャンが殆どの地に暮らして15年余になりますが、その立場から見て、どうも説明が現実とそぐわないと思うところが多かったです。ま、私は宗教学者じゃありませんからね。

日本の書店へ行く。

古本を、買うた。

booksJune12.jpg

(写真は全部画面に出ないこともあるようなので、クリックして下さい。)

ニューヨークで日本の書店に寄ろうと思っていたのは、村上春樹の色彩がなんとかいう新刊を買うためだったのだが、それは買わずに帰ってきた。なぜなら高かったから。紀伊国屋で28ドルいくらだか、ブックオフでも25ドルとかでした。腐るもんじゃなし、文庫が出るか古本がもう少し安くなってからでもよかろう。

で、代わりというわけでもないけれど購入したのがこの6冊、全部で20ドルです。

「民子」は実は前にブックオフの同じコーナーで立ち読みしている。
その時は読み終えて、しばし手に持って立ち尽くしたままつれて帰ろうかと考えたのだが、結局書棚に戻した。
今回、まだあるかなー、と行って見たら、あるどころか値が5分の1に下がっていた。
私を待ってくれていたのだ。(違)
ひとしきり手元に置いたら、猫好きの友達に無言で送りつける予定です。

川上弘美さんは最近好きな、数少ない日本の作家です。言葉遣いが、おちつく。

橋本紡さんという人は、実はついこの間までお名前も存じ上げなかった。
ツイッターでみつけてブログの文章を読み始め、作品をまったく知らないのもどうかと思って一冊買ってみたのでした。

村上龍はまだこれが4冊目かそこら、彼の作品は全然ピンと来ない場合と、ものすごく面白いと思う場合のギャップが大きい。これはどちらになるかまだ不明です。

グレート・ギャツビーは英語で何度か読んで、この本を好きな人たちが大変に褒めているのがよく判らないと思い続けていた。村上春樹のフィルターのかかった日本語で読むと違う感じ方をするかな?という興味があって購入。

「夏目漱石 非西洋の苦闘」は夏目漱石が好きなのと、それから西洋に住む非西洋人としての共感もあるだろうと思って選択。



ニューヨークに住んでいるわけではないし、道場に出かけるときは大荷物なのでとても書店まで足を伸ばす気になれない。
この頃興味は強く英語の本に傾いていて日本語の本に対する欲求は強くない。
予算も、手で持ち帰れる重さも限られている。
そう言う中で日本の書店に行くと、本選びの優先順位の基準が以前とは違うのが興味深い。

例によって英語の未読本も山積みなのだが、次に控えている中に全536ページの「薔薇の名前」もあるので、日本語の方をさきに片付けてしまおうと思います。
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剣祐

Author:剣祐
剣の修行中。

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