審査の後

居合について1年前に思っていたことを振り返りたくてアーカイブをたどってみたけれど、
何も書いていなかった。
武道の修行の記録の役割すら果たしていない、このブログ。
サボりすぎだ。
だから辞めますって話でも、これから頑張るって話でもなくて、
役にたたねえなというだけだが、ひとまず。

振り返りたかったのは、剣道連盟の初段を通った後何を考えたか、ということだ。

昨日セミナーと審査があって、二段を受けた。
結論から言えば通ったのだが、
この前後にさまざまなことを考えたので今回は記録しておこうと思う。

模擬試験で点数が出る、というようなものと違って、
こういう性質の試験というのは直前になればなるほど自分が十分準備出来ているのかがわからなくなる。
少なくとも私は少し混乱した。
支えになるのは先月大ボスであるK先生からいただいていた「うん、稽古してますね」という言葉と、
普段K先生以上に厳しいS先生の「君は基礎はできてるんだよ。あとは細かいところを一つ一つ精確にするだけだ」という言葉くらいだった。
同じ道場から一緒に二段を受けることになっているAは、私よりは冴えのある居合をしているように私には見えたし、S先生からの直しは私より少ないように見えた。



昼過ぎまでのセミナーで、同じ二段を受ける人々を観察した。
率直に言って、このくらいでいいなら大丈夫かな、と思う場合が多かったが、
この人たちが受かるレベルだというという保証は何もない。

二段のお題は、前・受け流し・諸手突き・顔面当て・総切り、だった。
それぞれの形で、普段道場で注意されている幾つかの重要なポイントがあった。
振りかぶりから間をおかずに切り下ろすこと、
受け流しの立ち上がりで伸び上がらないこと、
この切りつけはあごまで、
納刀の柄は低く保つ、
敵を見てから体の向きを変えること、
などなど。
それらはほぼ全部思い出すことが出来たのだが、
切り下ろしの最後に何度か切っ先がぶれて、あちゃー、と思った。

だめだこりゃ。

普段どおりに出来るか出来ないかも、実力のうち。

自分の分が終わって片付けていると、
知らない人も含めた何人かがやってきて、
私の演武を褒めて行った。
自分では全くそんな気がしなかったので、謙遜とか何とかではなく、
本当にいやいやいやいや!と思った。

私は自分に対する要求が多すぎるのかもしれない。

二段は9人受けて6人通った。
大ボスK先生が、「二段の受験者では君が一番良かったよ」といってくださって初めてホッとした。
K先生がこのセミナーと審査の長であるとはいえ、単なる親ばかかもしれない。笑

この半年親身に面倒を見てくださったF先生とS先生が一緒におられるところに走っていって、
指導のお礼を言った。
F先生は私の方の審査員の一人だったが、S先生はもう一方のコートにおられて私の演武は見ていなかった。
S先生がしばらく前に私の礼法を徹底的に直してくださったのだった。
S先生がF先生に、「彼女の礼法どうだった?」と尋ねた。
F先生「あなたのにちょっと似てたわよ」
S先生「そんなに良かったのか。」
そんなに良いわけないけど、でもちょっと似てたといわれたのは嬉しかった。
S先生は、その居合の美しさで私がこの道場に来る決意をしたそもそものきっかけの人物だから。



そんな風に審査の当日は割りと気分良く、
審査に通ったことよりも先生方の言葉と、先生方との関係性への感謝の気持ちで終わったのだった。

で、翌日の今日、通常通り稽古。

審査が終わった後、先日の剣道の審査後と同様、ただただ稽古に戻りたかった。
ものすごくのどが渇いているような感じだった。
自由稽古になって、鏡に向かって稽古している私の後ろにはS先生がおられて、
主に古流を稽古されていた。

いつものように端正な書のような居合。
居合腰も切っ先も決してぶれず、精確で、動きの全部が冴えている。

ああ、遠いな、と思った。
私の目標はそこにある。
こんな居合を抜きたいと思って稽古している。

遠い。遠い。遠い。
遠いからこそ、焦がれる。
遠いからこそ、もっともっと稽古をしようと思う。

二段に通ったと喜ぶまもなく、
だめだ、こんなんでは全然だめだ、
S先生にちっとも近づいていない、もっと稽古をしよう、
という気持ちで一杯になってしまった。

多分これでいいのだ。
いつかS先生に近づくことができたと思うとき、
きっと目標はもっと遠いK先生に移って、
だめだ、こんなんでは全然だめだ、と
また思うに違いないのだ。

どこまで行っても、多分、終わりはない。

大好きな作家の小説を読み始めたときのような気持ちで、
すなわち、面白くなってきたけどまだまだこれからだ、という気持ちで、
刀を振っている。

終わりのないことこそが、
もしかしたら、
私が魅力に思うこと、なのかも知れない。
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剣祐

Author:剣祐
剣の修行中。

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