演武

初めて、今の居合道場の名の入ったゼッケンをつけて、居合の演武をした。

うちの剣道道場の主催する剣道イベントの一環の演武で、私はイベントの雑用ももろもろ抱えていたので時間的に可能かどうかちょっと迷ったのだが、やっぱりちゃんと居合着に着替えてゼッケンもつけて出ることに決めた。
決めたら雑用なんかないよその道場のほかの人たちは皆剣道着のままだったし、ゼッケンなんかつけてなかった。

自分でわざわざ忙しくしたか。ははは。

いいのだそれは。私はS道場の一員として演武がしたかったんだから。
S道場の名前をつけて人前に出ることは、私にとって誇りでもあり、それなりの責任を背負うことでもある。
K先生の弟子です、と胸を張っていえる居合をしているだろうか、と、外に出ると思う。

居合の演武以外にイベントの運営で考えること、することが沢山ありすぎて、
自分で選んだ6つの形の順番を覚えているかどうか怪しい、と思ったが、それはちゃんと自然に流れた。
一箇所「逆刀」でしくじったが、その後心が乱れることもなく、落ち着いて元に戻れた。
失敗はしなければしないほうがいいに決まっているが、してしまったらその後の立ち直しがちゃんとできることが大事だ。一旦失敗したあとそのために後ががたがたになるのが一番まずい。居合も剣道も。

私がリードだったのだが、気がついたら他の3人は私より先に6本終わって立って待っていた。
監修されていたS道場の先生の一人、B先生があとで「あなたのタイミングでよかったのよ、他の人が早すぎだったのよ」とそっとささやいてくださった。

あとで、よその剣道と居合の先生が来て、「あなたの居合はとてもエレガントでしたよ」と言って下さった。
先生方のおかげです、とまず思った。
後になって、居合においてまず「エレガント」という言葉で褒められるのって果たして一番いいことだろうか、
と首をかしげた。
例えばS先生の居合を見て、「エレガント」だと思うだろうか?…まあ、思うか。
思うけど、先にたつのは「冴えている」だな、やっぱり。
「エレガント」な居合って、切れる居合かな?
と、しばし考え込む。
今度いっぺんビデオに撮って見なければ。

その疑問はともかく、よその人がわざわざ来て褒めて下さることについては素直にありがたかったし、
感慨があった。
三年だか前に、初めて居合の全国大会でS先生の居合を見たとき、
私は居ても立ってもいられなくて、やっぱりわざわざ行って感動を伝えたのだった。
そのときは二年後に彼が自分の先生の一人になるとは想像もしていなかったけれど。
人に褒められることが目的ではないけれど、人の心を動かせる居合をできる居合道家になりたいと思っていたし、思っている。
少なくともそういう方向に向かえているらしいことを時々こうして知らされるのは、じんわり嬉しい。

そんなわけで、誇らしくも重い荷だった居合の演武が朝一番のプログラムとして終わったら、
もうイベントの半分くらい終わった気になったのでした。
実際にはイベントは延びに延びて、その後10時間くらい走り回りっぱなしだったのだが、
これまで苦手中の苦手だった剣道のスコアリングテーブルの仕事もおかげさまで屁の河童だったわ。
プレッシャーが人を成長させるのですね。
はははは。

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剣祐

Author:剣祐
剣の修行中。

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